【2026年最新】不動産売買で使える税制優遇と改正ポイント

不動産市場には現在、省エネ性能への適合と空き家問題の解消という2つの大きな課題があります。
この課題を解決するために政府は近年、不動産の税制改正を進めており、2026年も例に漏れず色々な制度が変わりました。物件を選ぶ価値観や基準も、従来の「立地」「築年数」などの他に、これからは優遇制度に合わせて「エネルギー消費効率」「断熱効果」といった省エネ性能が重視されていくと予想されます。
そこで今回は、2026年に改正された制度の最新情報を整理してお伝えいたします。
不動産売買を成功させ利益を最大化するためにも、法改正の波に取り残されずに制度を上手に活用していきましょう。

目次

  1. 1. 省エネ性能への適合に関する税制優遇
  2. 1-1. 住宅ローン減税
  3. 1-2. リフォーム減税
  4. 1-3. 住宅省エネ2026キャンペーン
  5. 2. 空き家問題解消に関する税制優遇
  6. 3. 2026年税制改正のポイント
  7. 4. Q&A
  8. 5. まとめ
  9. 6. 関連URL
省エネ性能への適合に関する税制優遇

環境への負荷を軽減するため、政府は省エネ性能を満たす物件に対して税制優遇を進めています。 2026年には、次のような制度の改正や支援が実施されています。

1 住宅ローン減税
2 リフォーム減税
3 住宅省エネ2026キャンペーン

1つひとつ詳しく見ていきましょう。

1住宅ローン減税

2026年(令和8年)4月1日から「令和8年度税制改正の大綱」が適用されました。
これにより、住宅ローンに関して次の2点が改正されます。

住宅ローン減税の適用期限を延長
中古住宅(既存住宅)への拡大適用

住宅ローン減税の適用期限を延長

2026年(令和8年)1月1日~2030年(令和12年)12月31日までに居住開始する場合に限り、住宅ローン減税の適用期限が2025年(令和7年)12月31日から2030年(令和12年)12月31日まで5年間延長されます。
住宅ローン減税とは、要件を満たした住宅を購入した場合、住宅ローンの残高の一定割合を、所得税や住民税から差し引くことができる控除制度です。
この延長によって、物件の購入時期を焦らずに、将来設計や資金計画をゆとりをもって進められるようになります。
買主の金銭的な問題をクリアすることで、不動産市場の長期的な安定を図ることが目的です。

中古住宅(既存住宅)への拡大適用

2026年(令和8年)1月1日以降に居住開始する場合に限り、中古住宅(既存住宅)の省エネ性能などに応じて、以下の住宅ローン措置がとられるようになります。

○ 借りることができる限度額の引き上げ
○ 子育て世帯(※1)・若者夫婦世帯(※2)に対して、控除期間を10年間から13年間に延長
○ 床面積50 m2以上だった適用条件を40 m2以上に緩和(合計所得金額1,000万円以上の者は50 m2以上のまま)

※1 子育て世帯・・・18歳未満の子がいる世帯。
※2 若者夫婦世帯・・・夫婦いずれかの年齢が39歳以下の世帯。


新築に対してのみだった優遇措置を中古住宅にまで拡充したのは、以下の狙いがあります。

・中古住宅の流通促進
・リフォーム・リノベーション市場の活性化
・省エネ性能向上への誘導

なお、床面積は壁の内側で測定する「登記簿面積」でカウントします。
販売図面の「専有面積」は壁芯などの分が含まれることが多く、登記簿面積より広く算出されるので注意が必要です。
販売図面では41 m2と表示されていても、登記簿面積は39 m2であり、要件を満たさないケースもあります。

また、住宅ローンの優遇措置を受けるには、床面積要件の他に新耐震基準(1981年(昭和56年)6月1日以降の建築確認)に適合している必要があります。

2リフォーム減税

住宅に、特定のリフォーム(耐震・省エネ・長期優良住宅化・三世代同居対応・子育て対応・バリアフリーなど)を行った場合、 下記の制度が適用されます。 2026年(令和8年)1月1日~2028年(令和10年)12月31日までに居住開始する場合に限り、

所得税の控除(最大60~80万円)
2026年(令和8年)4月1日~2031年(令和13年)3月31日までに居住開始する場合に限り、

固定資産税の減額(1/2~2/3に相当する額)
.中古住宅を購入し、リフォームを行うことで、住宅ローン減税+リフォーム減税を組み合わせた総合的な費用の軽減も期待できるでしょう。

3住宅省エネ2026キャンペーン

住宅省エネ2026キャンペーンとは、住宅の断熱や高効率設備の導入を支援する補助事業を束ねた省エネ支援キャンペーンのことです。

下記の4つの補助事業

○ みらいエコ住宅
○ 先進的窓リノベ
○ 給湯省エネ
○ 賃貸集合給湯省エネ

により、家庭部門の省エネ化を促進します。

適用できる支援は、住宅が新築か中古かで下記のように異なります。

・新築 → みらいエコ住宅、給湯省エネのみ
・中古 → 全て可

また、対象となる世帯は、住宅の省エネ性能により下記のように異なります。

・GX指向型住宅(※3)→ 全ての世帯対象
・ZEH水準住宅(※4)→ 子育て世帯・若者夫婦世帯対象
・長期優良住宅(※5)→ 子育て世帯・若者夫婦世帯対象

※3 GX指向型住宅・・・GXとはGreen Transformation(グリーン・トランス・フォーメーション)の略。ZEHより高い省エネ性能を備えた「脱炭素志向型の新築住宅」。高い断熱性や気密性が特徴で、再生可能エネルギーの活用でエネルギー消費を大幅に抑えられる。
※4 ZEH・・・Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称。
省エネと創エネによって年間のエネルギー(冷暖房、換気、照明、給湯など)消費量を実質ゼロにすることを目指した住宅。
※5 長期優良住宅・・・長期にわたり良好な状態で使用するための措置 が講じられた優良な住宅。

住宅省エネ2026キャンペーンへの申請手続きは、工事の施工を依頼した工務店・リフォーム事業者などが「住宅省エネ支援事業者」として登録し、施主に代わって行います。
住宅補助金申請額が予算上限に達ししだい受付が終了されるので、利用できる支援があるかどうか確認して計画的に申し込みましょう。
詳細はこちらをご参照ください。
【住宅省エネ2026キャンペーン:https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/


空き家問題解消に関する税制優遇

放置空き家の増加も、治安の悪化をはじめとした様々な問題を抱えています。
それに対し国税庁は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の延長という措置をとりました。
これにより、2023年(令和5年)12月31日までとされていた適用期間が2027年(令和9年)12月31日までに延長されました。
相続・遺贈などで取得した居住用家屋や敷地を2027年(令和9年)12月31日までに売ると、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。


2026年税制改正のポイント

2026年税制改正のポイントは、ズバリ!

省エネ性能の重視
中古住宅の再評価

です。
2025年は新築住宅に対し省エネ基準への適合が義務化され、2026年はその基準や対象がさらに強化・拡大されました。
「令和8年度税制改正の大綱」も単なる既存制度の延長ではなく、「省エネ性能の重視」と「中古住宅の再評価」という方向性が明確に打ちだされています。

国はさらに2030年までにZEH水準への適合義務化を、2050年までにカーボンニュートラル(※6)実現を目指しており、これからますます省エネ傾向は加速するでしょう。

※6 カーボンニュートラル (carbon neutrality) ・・・二酸化炭素などの排出量と吸収量を同程度にして影響を実質ゼロに抑える、という概念。

また、従来の住宅ローン減税は新築住宅が中心であり、中古住宅は後回しにされていましたが、2026年から中古住宅への条件が緩和されました。
新築の際の廃棄や建設による環境負荷を軽減するため、既存のストックを活用していく方針と捉えられます。

買主視点では、税制優遇が手厚い省エネ性能の高い住宅を選ぶ傾向が強まるでしょう。
今後は「駅チカ・築浅が有利」という時代から、「省エネ性能が高ければ有利」という時代へ移行していくと予想されます。
物件の資産価値を決める際も、省エネ性能が重要な判断基準となっていくでしょう。

売主は、売出し前の登記情報の確認・修正が必須となり、販売前に法的な要件を満たしているかを確認する事前準備が必要になってきます。
BELS(※7)などで客観的な数値を示すことが、競合物件との差別化につながるでしょう。

※7 BELS・・・Building-Housing Energy-efficiency Labeling Systemの略。第三者評価機関によって建築物の「エネルギー消費性能」「断熱性能」に基づき、省エネルギー性能を評価する。

時代の流れや制度の背景を把握し、自分にとって最適な選択をすることが不動産売却成功のカギとなります。


Q&A
Q  2026年の制度改正は、物件の売却価格や売れやすさに影響しますか?

A

売却したい物件が省エネ基準を満たしているかによって、買主が税制メリットを受けられるかが決まります。 減税制度の利用は買主の予算にも直結するので、売却価格設定や売れやすさにも影響してくるといえます。

Q  住宅に義務化される省エネ性能の基準ラインは、今後変更されますか?

A

新築住宅に対し、2025年4月から「省エネ基準」への適合が義務化されましたが、2030年4月までには「ZEH水準」への適合が義務化される見通しです。

Q  住所や氏名が変わったのに登記を直していません。売却に影響しますか?

A

「所有者不明土地問題」への対策が一層強化され、2025年前までは任意だった「住所等変更登記」が2026年から義務化されました。
そのため不動産の名義人(登記簿上の所有者)は、住所や氏名に変更があった日から「2年以内」に変更登記を申請しなければならなくなりました。違反した場合は「5万円以下」の過料が処されます。
今までは物件売却の引き渡し日当日に、司法書士が住所等変更と所有権移転を同時に申請するのが通例でした。
しかし、2026年からは住所や氏名に変更があった場合、できるだけ早く変更登記を済ませておくことが安全策となるでしょう。
なお、義務化の施行日(2026年4月1日)前の住所等変更も対象となり、施行日から2年以内(2028年3月31日)に申請すればよい、という経過措置が設けられています。

まとめ

不動産売買に関連する、2026年に改正された主な税制優遇ポイントを表1にまとめました。

表1. 築年数別インスペクションの目的とアピールポイント
省エネ性能に関して 住宅ローン減税の適用期限を延長:
2025年12月31日まで →2030年12月31日までの5年延長
<要件>居住開始日:2026年1月1日~2030年12月31日まで
■中古住宅に対して
省エネ性能に応じて
・住宅ローン限度額を引き上げ

・子育て世代・若者夫婦世帯に対して、
 住宅ローンの控除期間を延長:10年間 → 13年間に延長

・床面積要件:50 m2以上 → 40 m2以上に緩和
 <要件>居住開始日:2026年1月1日以降
■リフォームに対して
・所得税の控除(最大60~80万円)
 <要件>入居開始日:2026年1月1日~2028年12月31日まで

・固定資産税の減額(1/2~2/3に相当する額)
 <要件>居住開始日:2026年4月1日~2031年3月31日まで
■住宅省エネ2026キャンペーン
・新築と中古で受けられる支援に差がある。(中古の方が多い)

・住宅の省エネ性能により、対象となる世帯が異なる
(省エネ性能が低いと限定的)
空き家問題解消に関して ■売却の際、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の延長
・適用期間の延長:2023年12月31日 → 2027年12月31日までの4年延長

このように、2026年は様々な制度が改正され、「省エネ性能への適合」と「空き家問題の解消」という課題解決へのターニングポイントの年になると予想されます。
こういった背景の中で不動産の売却を成功させるには、市場の流れやトレンドを把握することがより大切となります。
制度の要点を押さえ、後悔のない取引ができるようにベストな選択をしましょう。
リビングライフは1990年の創立以来、「住まいから始まる幸せの生涯設計を提案する」という理念を掲げ、お客さまと共に歩んでまいりました。
これからも不動産売買・賃貸の仲介や節税・資金計画へのアドバイスなど、不動産についてのサポートを通じて皆さまに寄り添い、ニーズに応えられるような会社を目指していきます。
大田区・品川区を中心とした東京城南エリア、川崎市・横浜市を中心にした神奈川エリアでサービスを提供いたしておりますので、是非いつでもお気軽にご相談ください。

関連URL

国土交通省「建築物の省エネに関する3つのポイント」:https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/

国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」:https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001518774.pdf

財務省「令和8年度税制改正の大綱」:https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf

国土交通省「住宅ローン減税」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html

国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000251.html

国土交通省「リフォームをお考えの消費者の方」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/reform/consumer.html

住宅省エネ2026キャンペーン:https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/

国土交通省「長期優良住宅のページ」:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000006.html

国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

経済産業省 資源エネルギー庁「令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021)第1部 エネルギーをめぐる状況と主な対策 第2章 2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組 第3節 2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組」:https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/1-2-3.html

建築物省エネルギー性能表示制度環境・省エネルギー計算センター:https://www.ceec.jp/column/bels-about/

国土交通省「中規模非住宅建築物」の省エネ基準の適合義務引き上げ:https://www.mlit.go.jp/common/001983339.pdf

法務省「住所等変更登記の義務化について」:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00693.html

法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00687.html

TOP