契約不適合責任とは?不動産売却前に知っておくべき注意点と対策
せっかく売買契約が円満に終了しても、買主がいざ住み始めてから物件に不具合が見つかり、
揉めごとに発展してしまうケースがあります。
そういったことがないように、トラブル回避には、
不具合がでた場合の責任の範囲を、あらかじめ契約書に明記しておくことが重要です。
今回は、物件と契約が適合しなかった時の責任のとり方とその注意点、免責のための対策について解説していきます。
物件に問題があった場合でも売主と買主の間に亀裂が入らないように、
契約不適合責任について理解を深めていきましょう。
目次

契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、売買された不動産が契約内容と異なる際に、売主が買主に対して負う責任のことです。
例えば、雨漏り・白アリの発生・設備の故障・土壌汚染・地中埋設物のような不具合が発覚した場合に、買主は売主に損害分の補償を請求することができます。
●4つの請求方法
契約不適合責任には次の4つの追及方法があります。
1 追完請求
2 代金減額請求
3 損害賠償請求
4 契約解除
1つひとつ詳しく見ていきましょう。
1追完請求
追完請求とは、現物を修理もしくは交換して問題を解決する方法です。
例えば、物件に雨漏りがあった場合に、買主は売主に追完請求権を行使して屋根の修理や交換を求めることができます。
ただし、客観的に不相応な方法での追完を要求された場合は、買主の指定と異なる方法で追完しても責任を果たしたと認められます。
雨漏りの例でいうと、一部しか雨漏りしていない状態で屋根の交換を請求されたとしても、それは過剰請求とみなされ、売主は該当部を修理するだけでOKです。
2代金減額請求
代金減額請求とは、物件の代金を安くすることで問題を解決する方法です。
買主は追完請求が果たされない場合に、物件の契約不適合の程度に応じて代金の減額を請求できます。(ただし、売主が追完不能である・追完拒絶の意思が明確である・追完期限を経過した・その他追完の見込みがない、といった場合は追完の催告なしでも代金減額請求に進めます。)
例えば、契約後に土地を再測量して、契約書上での土地面積よりも実際の土地面積が小さかった場合、買主は売主に対して代金減額請求権を行使できます。
3損害賠償請求
損害賠償請求とは、損害分を金銭に換えて問題を解決する方法です。
例えば、雨漏りにより家具に被害がでてしまった場合に、買主は売主に対して損害賠償請求権を行使して家具の時価相当の代金を求めることができます。
また、物件を貸すことが決まっていたのに欠陥が発覚したことでキャンセルになった場合なども、買主が得られるはずだった賃貸料金の分を請求可能です。
ただし、精神的な苦痛の代価である慰謝料は原則的に損害賠償に含まれません。
4契約解除
契約解除とは、契約を白紙に戻すことです。
契約解除は契約が最初からなかった状態になるので、現時点からの契約関係を解消する解約と違い、「売買代金を買主に返還」「物件を売主に返還」することになります。
契約不適合責任の注意点
契約不適合責任を考える際には、注意しなければならないポイントが2点あります。
● 時効がある
● 任意規定である
1つひとつ詳しく見ていきましょう。
●時効がある
契約不適合責任には時効=行使期限(除斥期間)が設けられています。
買主は「不具合を知ったときから1年以内」に不具合の内容を売主に通知しなければなりません。(改正民法第566条)
1年以内に通知がない場合は契約不適合責任を追及できなくなるので、売主も買主も要注意です。
●任意規定である
契約不適合責任は、契約書の内容が法律よりも優先して適用される「任意規定」です。
任意規定とは、当事者が納得して決めていれば国が介入する必要がないという考えに基づいた、法律よりも当事者同士の取り決めの方が強い規定のことです。
そのため、契約書に記載がない項目には法律の規定が適用されますが、記載があれば契約書が優先されます。
例)雨漏り・白アリなどが後から見つかっても、契約書に免責事項として書かれていれば補償しなくてもよい。
独自のルールを適用できるようになるので、契約書を作成する時は十分に気をつけましょう。
対策
契約不適合責任を追及されないようにするには、次の2つの対策があります。
1契約書に契約不適合責任の免責事項を定めておく
2買取や買取保証付き仲介を利用する
どんな方法なのか、1つひとつ詳しく見ていきましょう。
1契約書に契約不適合責任の免責事項を定めておく
売主は買主に対して告知義務があります。(宅地建物取引業法第47条1項)
伝える方法は法的に決まっていませんが、一般的には「物件状況報告書(※1)」・「付帯設備表(※2)」の2点を作成して買主に渡します。
買主が物件の購入を公正に判断できるようにするため、売主は物件状況報告書・付帯設備表に知っている限りの情報を全て記載しなければなりません。
物件の問題点を共有した上で、売主・買主お互いの合意さえあれば、契約書において民法の規定と異なったオリジナル・ルールを設定できます。
契約書に免責事項(※3)を記載しておくことで責任の在り処がはっきりするため、後々の揉めごとを防ぐことができるでしょう。
その代わり免責事項に含まれていないことは責任を追及される恐れがあるので、契約書は慎重に作成する必要があります。
※1 物件状況報告書…売主が買主に対し、売却物件の状況や不具合、周辺環境などを説明するための書類。
※2 付帯設備表…売主から買主に対し、物件の設備(給湯器、エアコンなど)の有無、故障の状況などを説明する書類。
※3 免責事項…損害が出ても責任を免れる事項。
2買取や買取保証付き仲介を利用する
一般的な仲介取引(不動産会社が買主を探してくれる取引)ではなく、不動産会社による買取や買取保証付き仲介を利用することで、契約不適合責任を免れることができます。
買取とは物件を不動産会社に直接買い取ってもらう方法のことです。
買取保証付き仲介とは物件が一定期間売れなかった場合に、あらかじめ決めておいた金額で不動産会社に物件を買い取ってもらう方法です。
どちらの方法も物件の所有権が不動産会社に移るので、責任の追及先も不動産会社にかわります。
ただし、買取や買取保証付き仲介は買取価格が仲介での売却より安くなる(7~8割程度)ことを念頭に置いておきましょう。
Q&A
Q 「契約不適合責任」と「瑕疵担保責任」はどう違うのですか?
A
契約不適合責任は瑕疵担保責任が進化したバージョンです。 2020年4月の民法改正で、瑕疵担保責任が契約不適合責任へと変わりました。 瑕疵担保責任は「買主側が知らなかった瑕疵の責任をとる」という位置づけでしたが、契約不適合責任は「契約の内容に適合しているか否か」が基準となりました。 これはつまり、買主が最初から知っていた不備でも、契約内容と違えば売主が責任を負うことになります。
Q
買主がはじめから知っていた不備については
契約不適合責任の対象から外したいのですが、どうすればよいですか?
A
中古品不動産の売買のように、一定の不備があることを買主も承知で売買するようなケースがあります。 そういった場合は、「買主が知っていた不備については責任を負わない」という旨を契約書で明記すれば、契約不適合責任の対象から外すことができます。
Q 事故物件は告知しなければなりませんか?
A
売主は買主に、物理的な瑕疵だけでなく心理的瑕疵についても伝える義務があります。
そのため実際には傷や汚れ、経年劣化などに関係なくとも事故物件であることを伝えなければなりません。
まとめ
今回は、契約不適合責任とその注意点、免責のための対策について解説いたしました。
売主・買主共に売買契約後も気持ちよくいられるように、トラブルの芽は事前に摘み取っておくことが大切です。
契約書において免責事項を明らかにし、責任の在り処をはっきりさせて、できる限り揉めごとを減らしましょう。
リビングライフは1990年の創立以来、「住まいから始まる幸せの生涯設計を提案する」という理念を掲げ、お客さまと共に歩んでまいりました。
これからも不動産売買・賃貸の仲介や節税・資金計画へのアドバイスなど、不動産についてのサポートを通じて皆さまに寄り添い、ニーズに応えられるような会社を目指していきます。
大田区・品川区を中心とした東京城南エリア、川崎市・横浜市を中心にした神奈川エリアでサービスを提供いたしておりますので、是非いつでもお気軽にご相談ください。
関連URL
民法:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
宅地建物取引業法:https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176
宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001881261.pdf

