遠方の不動産をスムーズに売却するためには

遠方の不動産は気軽に現地に行けないため、管理や運用が難しくなります。
相続などで手に入れた場合は、売却して現金化したいと考える方も多いでしょう。
しかし遠方の不動産の売却は買主と直接会う機会を設けにくいので、近場の不動産売却と勝手が違います。
この記事では、遠方の不動産をスムーズに売却する際の問題点やその解決法、注意点などについて解説していきます。
遠方の不動産を所有していて売却に困ってしまったら、是非参考にしてみてください。

遠方にある不動産を売却する時の問題点

不動産の取引では、売買契約や決済・物件の引き渡し時に売主・買主・仲介不動産会社の3者が同席することが一般的です。
しかし、遠方の不動産を売却する場合は中々現地に赴けず、立会いができないという問題が生じます。
買主に会わずに取引をすることは買主側が不安を抱きやすく、信頼を得にくいというリスクにもつながります。
では、都合がつかず契約や決済が直接できない場合はどうすればよいのでしょうか。


3つの解決方法

遠方の土地を売却する際に契約や決済・物件の引き渡しが直接できない場合は、次の3つの解決方法があります。

1持ち回り契約
2代理契約
3司法書士に依頼

1つひとつ詳しく見ていきましょう。

1持ち回り契約

持ち回り契約とは、不動産会社の担当者が書類を郵送・もしくは売主と買主を直接訪問して契約書に署名・捺印をもらい売買契約を成立させる方法です。不動産が遠方でも不動産近くの会社と持ち回り契約を依頼することで、直接現地に赴かなくても不動産の売買をスムーズに行うことができます。

ただし、持ち回り契約は不動産会社の担当者や買主との連絡が事務的になってしまいがちです。
売主と買主の認識にズレが生じると後々のトラブルにつながるので、担当者が物件の問題点などをきちんと買主に説明しているか確認しておきましょう。

信頼できる不動産会社に依頼することが重要!

2代理契約

代理契約とは、家族や信頼できる親族・知人を、売買契約や決済・物件の引き渡し時の代理人として立てる方法です。

当日に不備があると契約が白紙や延期になってしまうことがあるので、手続きに必要な書類は確実に引き継ぎましょう。
また名義変更時の本人確認は司法書士が現地で行わなければならないため、決済・物件の引き渡し時には司法書士の分の出張費用が別途かかります。

代理人へは委任状が必要!
別途、司法書士への出張費用がかかる

3司法書士に依頼

司法書士は、法律上の書類作成や手続き代行の専門家です。

立会いを司法書士に依頼すれば、物件の引き渡しや所有権移転登記のような手続きを安心して任せられるでしょう。
また、不動産を相続で取得して相続人が複数いる場合も、司法書士が間に入ることで相続人間のトラブルが生じにくくなるでしょう。

依頼費用はかかるが安心!


遠方の不動産を売却する流れ

遠方の不動産を売却する流れは次のようになります。

1不動産の査定
2不動産会社と媒介契約を結ぶ
3売却活動
4売買契約
5決済・物件の引き渡し

1つひとつ詳しく見ていきましょう。

1不動産の査定

査定は「そのエリアに精通している地域密着型の不動産会社」や「利用者が多い全国規模の大手不動産会社」など、複数社への依頼を推奨します。1~2社であると価格に偏りがあっても判断がつかないためです。

まずは机上査定(※1)をしてもらい、その中から訪問査定(※2)の会社を絞りましょう。
遠方の物件の場合は、物件の鍵を不動産会社に送って訪問査定をしてもらうことになります。

※1 机上査定・・・書類上の情報だけで行う簡易的な査定。
※2 訪問査定・・・実際に物件を見て、データだけではわからない日当たりや利便性、不動産の状態などを確認して行う査定

適正な市場価格を把握するために、自分でも大まかな価値を調べておくとよいでしょう。

2不動産会社と媒介契約を結ぶ

査定後は、営業力があり誠実そうな不動産会社をピックアップして契約する不動産会社を選びましょう。

媒介契約には「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
それぞれの媒介契約の特徴を表1.に示すので参考にしてみてください。

一般媒介イメージ
専任・専任媒介媒介イメージ
表1.それぞれの媒介契約の特徴
一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
依頼できる不動産会社 複数可 1社のみ 1社のみ
自ら買主を見つける ×
レインズへの登録 なし 有(7日以内) 有(5日以内)
販売状況の報告 なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
3売却活動

主な売却活動はインターネットへの掲載、チラシでの宣伝になります。遠方にいると不動産会社の動きが把握しづらいため、不動産会社から受け取る営業活動報告書で買い手の反応や担当者の熱意を確認しましょう。

4売買契約

買主が現れたら、不動産会社と売買契約書をやり取りして売買契約に進みます。

契約時には買主から手付金が支払われます。
手付金は不動産の5~10%程度が目安となります。
買主都合で契約がキャンセルされる場合は手付金は返却しなくてもOKですが、売主都合でキャンセルする場合は手付金の2倍額を買主に支払わなければなりません。

また、契約締結時に契約を仲介した不動産会社にも仲介手数料の1/2を支払います。

売買契約書の内容を理解しないまま契約を締結させてしまうと、後からトラブルになる可能性があります。
疑問点がある場合は電話などで不動産会社に質問し、しっかりと説明してもらったうえで署名・捺印しましょう。

5決済・物件の引き渡し

決済・物件の引き渡しでは、手付金を除いた不動産代金の支払いや鍵の受け渡しなどが行われます。
仲介手数料の残り1/2も、この時に支払います。

決済・物件の引き渡しには、売主本人・代理人・司法書士のいずれかが立ち会わなければなりません。
先に紹介した「持ち回り契約」「代理契約」「司法書士に依頼」のいずれかを選択して、立会いしてくれる人を予め決めておく必要があります。

名義変更は、決済・物件の引き渡しと同日に行われます。
次のようなリスクを減らすためです。

代金を支払ったのに名義変更されない
名義変更したのに代金が支払われない
金融機関に抵当権がついたままになっている

本人不在の名義変更では、司法書士による本人確認の手続きが必須です。
なりすまし防止のため、各種証明書により依頼主が本人であることを証明しなければならないので、書類に不備がないように気をつけましょう。


遠方にある不動産を売却する時の注意点

遠方にある不動産を売却する際の注意点を3つご紹介いたします。

1信頼できる不動産会社を見極める
2不動産会社とは専任媒介契約か専属専任媒介契約を結ぶ
3時間に余裕をもって売却活動をする


1つひとつ詳しく見ていきましょう。

1信頼できる不動産会社を見極める

遠方の不動産売却の際は、物件の鍵を預けたり立会いを頼んだりするため、特に誠実な不動産会社選びが大切となります。
不動産会社の見極め方は、次のような項目をチェックしてみてください。

契約をしつこく勧誘してこない
対応が早い
対応が丁寧
口コミ・評判が良い
創業から長い


契約をしつこく勧誘してくる不動産会社は要注意です。
担当者がノルマを果たしたいがために媒介契約を急かしてくることがあるので、そういった場合は雰囲気にのまれず無理に契約しないようにしましょう。

対応の早さは、物件に対する熱意のバロメーターです。
もし対応が遅いと担当者が物件を放置している可能性があり、買い手候補に他の好物件が見つかった場合に取引の機会を逃してしまうことも考えられます。

対応が丁寧で、ヒアリングやアフターフォローが手厚ければ、誠実な会社であるとみなせます。
お客様のことを考えて物件売却を真摯に考えてくれるでしょう。

ネットでの口コミや評判も参考になります。
著しく評価が低い会社であれば、避けるのが無難です。

創業から長い不動産会社は、取引の実績やノウハウが確立されています。
今までに築いてきた顧客との絆もあり、信頼性の判断材料となるでしょう。

2不動産会社とは専任媒介契約か専属専任媒介契約を結ぶ

遠方の不動産売却においては、不動産会社と専任媒介契約か専属専任媒介契約を結ぶことをおすすめします。

一般媒介契約は複数社と契約するので、担当者のモチベーションが上がらずに、売却活動を熱心にしてもらえない可能性が高くなるからです。表1.に示した通り、REINSへの登録義務や売主への状況報告義務もないので放置されたまま売るタイミングを逃してしまうこともあり得ます。

3時間に余裕をもって売却活動をする

遠方の不動産取引は書類・鍵の郵送や代理人の調整に時間がかかり、売却期間が長引く傾向にあります。
スケジュールが間に合わないと満足の行く取引ができなくなってしまうので、売却時期に希望がある場合は余裕をもって売却活動をしましょう。


Q&A
Q 売却にかかる期間はどのくらいですか?

A

近場での不動産売買は、一般的に3ヶ月〜6ヶ月ほどが目安となります。
物件の状態やエリア、市場の動向によっては1年近くかかる場合もあります。
遠方の不動産の場合は書類の郵送や立会人の調整などで時間がかかるため、近場での不動産売買よりもさらに余裕をもってスケジュールを組んでおいた方がよいでしょう。
もし緊急に売却したい場合は、不動産会社に「買取」をしてもらうという選択肢もあります。

Q 司法書士への依頼費用はどのくらいかかりますか?

A

地域にもよりますが、おおよそ
● 所有権移転費用:4~6万円ほど
● 書類作成費用:2万円ほど
● 契約立会い日当:1~2万円ほど
● 移動費用:実費
が目安となります。

まとめ

この記事では、遠方の不動産を売却する際の問題点やその解決法、注意点などについて解説いたしました。

なれない不動産売却を遠方の場所で行うのは至難の業です。
遠方での不動産売却を成功させるカギは、信頼できる不動産会社をパートナーにすることです。
是非誠実な不動産会社を見極め、取引を成功させてください。

リビングライフは「住まいから始まる幸せの生涯設計を提案する」という理念を掲げ、1990年の創立以来、地域に密着してお客さまと共に歩んでまいりました。
これからも土地家屋の売買や賃貸物件の仲介、節税や資金計画へのアドバイスなど、不動産に関するサポートを通じて皆さまに寄り添い、ニーズに応えられる会社であり続けたいと考えております。

東京城南エリア、神奈川エリアでの不動産売却をご検討中の方は、是非お気軽に弊社にご相談ください。
もし遠方にお住まいでも、培ってきた実績とノウハウで少しでも皆さまが安心してお取引できるように、また有利な条件を実現できるように尽力させていただきます。

関連URL

公益財団法人・不動産流通機構「REINS Market Information」:http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do

         

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